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売買応用編。下取り車仕訳なども

ここまででは、クルマ(主に売買)にまつわる仕訳の基礎的な部分しか触れて来ませんでしたが、

ただリアルにクルマを買うとなると〜 実務的にはローンがからんで来たり、下取り車があったり、、 実際の売買では色々と複雑な面も多いでしょう。

というわけで今回は応用編として、(自動車購入) より実践的な複合仕訳などについても触れておこうかと。。

※ なお、私管理人は 過去とあるカーディーラーで10年以上営業として勤務していた経歴がありますので、自動車にまつわる知識はそこそこ自信御座います。色々と皆様のお役に立てますと幸いです。

応用編その@ 減価償却が終わっている車を下取りに出し、中古車を現金で購入した場合。

納車日に現金一括払い。

※ 「注文書の見方

契約時

仕訳なし

納車日

借方 貸方 摘要
車両運搬具 1,560,000 現金 1,505,100 (内約は別途参照)
支払手数料 60,000 車両運搬具 1
租税公課 60,050 預託金 8,920
損害保険料 22,470 事業主借 199,999
預託金 11,500  

 借方内約

・車両運搬具 = 車両本体価格 + 納車費用 + 整備費用

※ 中古車取得後の減価償却については、「中古品の減価償却」を参照。
 
 自動車の減価償却は「事業の用に供した日」 が最低の基準になりますので、納車日を基準に減価償却を開始しないように気を付けておきましょう〜!(実際にその車両を使い始めた日を基準に減価償却を。)

・支払手数料 = 登録手続費用 + 車庫証明手続費用 + 下取り車手続費用

・租税公課 = (預り法定費用) + 自動車税 + 自動車重量税

・損害保険料 = 自賠責保険
・預託金 = 購入した車のリサイクル預託金。

 貸方内約

・現金 = 支払った現金。
・車両運搬具 = 下取り車の帳簿価額。
・預託金 = 下取り車のリサイクル預託金相当額。

・事業主借 = 売却(下取り)価格 − 下取り車の帳簿価額 = 199,999円の売却益。(減価償却資産の売却損益は「譲渡所得」になるので「事業主借」)

※ 減価償却資産の売却益、売却損については「減価償却資産の売却・徐却」を参照。

応用編そのA 減価償却が終わっていない車を下取りに出し、新車を販売店クレジットで購入した場合。

・減価償却資産(下取り車)の帳簿価額は20万円。

・下取り車のクレジット・ローンの残債は無し。

・頭金は納車日渡し。

※ 「注文書の見方

契約時

仕訳なし

ローン契約日

借方 貸方 摘要
前払金 2,000,000 未払金 2,000,000 (内約は別途参照)

納車日

借方 貸方 摘要
車両運搬具 2,658,500 現金 482,920 (内約は別途参照) 
支払手数料 43,000 前払金 2,0000,000
租税公課 247,650 車両運搬具 200,000
損害保険料 3,.600 預託金 10,380
預託金 12,070 事業主借 300,000
雑費 480  

 借方内約

・前払金 = 納車前に決済されたローンとして、前払金にて一旦資産計上処理。

・車両運搬具 = 車両本体価格 + 付属品・オプション + 納車費用

※ 車両取得後の減価償却については「減価償却」を参照。
 
 自動車の減価償却は「事業の用に供した日」 が最低の基準になりますので、納車日を基準に減価償却を開始しないように気を付けておきましょう〜!(実際にその車両を使い始めた日を基準に減価償却を。)

・支払手数料 = 登録手続費用 + 車庫証明手続費用

・租税公課 = (預り法定費用) + 自動車税 + 自動車重量税 + 自動車取得税

・損害保険料 = 自賠責保険
・預託金 = 購入した車のリサイクル預託金。(資金管理料金を除く)

・雑費 = リサイクル預託金を始めて払うときに必要な「資金管理料金」。

※ 購入した車のリサイクル預託金の取扱いは「自動車の購入」を参照。

 貸方内約

・現金 = 支払った現金。
・未払金 = 信販会社で200万円の分割払い。

※ 月々の支払の仕訳については「自動車ローン・クレジット」を参照。

・車両運搬具 = 下取り車の帳簿価額。
・預託金 = 下取り車のリサイクル預託金相当額。
・事業主借 = 売却(下取り)価格 − 下取り車の帳簿価額 = 300,000円の売却益。(減価償却資産の売却損益は「譲渡所得」になるので「事業主借」)

※ 減価償却資産の売却益、売却損については「減価償却資産の売却・徐却」を参照。

 補足

ローン契約日は、いわゆる「クレジットカードの決済」に似たような取引きとなりますので、

その自動車ローンの契約に対し、それぞれ何の項目(車両本体や諸費用等)に対する「未払い」契約なのか詳細が分かる場合には・・・ 各項目ごとに未払い・前払い & 費用化の勘定科目を立てても良さそうに思えますが、

ただこれら決済の目的は、それぞれほとんどが「自動車を保有しないと発生しない費用」である事は間違いないので、

ローン契約時には、未払金をそれら費用に具体的に振り分けるような仕訳はなさらない方が無難かと。。 (つまり前払金として即時費用化等させない)(私見)

ちなみに、そのローン契約によって仕訳を立てるタイミングは、契約書の契約日、又は信販会社から後送される「明細書」の契約日を基準とされて下さい。

応用編そのB 信販系クレジットが残っている車を下取りに出し(減価償却は終わっていない) 新車を銀行借入で購入した場合。

・下取り車の帳簿価額は30万円、
・下取り車の残債(ローン・クレジットの残り)が35万円(一括支払額)。但し、残債を一括で清算した時の元金分は34万円で、1万円ほど金利手数料が加算。(残債処理は購入店側で行ってくれる)

・頭金は50万円 (契約時に支払い)で、後の残りは銀行借入。

・銀行借入は3,600,000円の5年ローン(内、保証料が52,270円)。

・期首の1月に銀行借入。

※ 「注文書の見方

契約時

借方 貸方 摘要
前払金 500,000 現金 500,000 (内約は別途参照)

銀行借入時

借方 貸方 摘要
普通預金 3,547,730 借入金 3,600,000 (内約は別途参照)   
支払手数料 10,454  
前払費用 10,454  
長期前払費用 31,362  

銀行から借入金の引出し

借方 貸方 摘要
現金 3,547,730 普通預金 3,547,730 (内約は別途参照)

納車日

借方 貸方 摘要
車両運搬具 3.538.500 現金 3.547.730 (内約は別途参照)    
支払手数料 58.100 前払金 500.000
租税公課 266.050 車両運搬具 300.000
損害保険料 31.600 預託金 10.360
預託金 13.360  
雑費 480  
未払金 340,000  
利子割引料 10,000  
事業主貸 100,000  

 借方内約

・前払金 = 自動車が未だ納車されていない時の頭金は 「前払金」として一時的に資産計上。

・車両運搬具 = 車両本体価格 + 付属品・オプション + 納車費用

※ 車両取得後の減価償却については「減価償却」を参照。
 
 自動車の減価償却は「事業の用に供した日」 が最低の基準になりますので、納車日を基準に減価償却を開始しないように気を付けておきましょう〜!(実際にその車両を使い始めた日を基準に減価償却を。)

・支払手数料 = 登録手続費用 + 車庫証明手続費用 + 下取り車手続費用

※ 銀行借入時の支払手数料 = 保証料52,270円の内の当期費用計上分。
※ 銀行借入の保証料については「銀行借入ローン」を参照。

・租税公課 = (預り法定費用) + 自動車税 + 自動車重量税 + 自動車取得税

・損害保険料 = 自賠責保険
・預託金 = 購入した車のリサイクル預託金(資金管理料金を除く)。

・雑費 = リサイクル預託金を始めて払うときに必要な「資金管理料金」。

※ 購入した車のリサイクル預託金の取扱いは「自動車の購入」を参照。

・未払金 = 下取り車のローン・クレジット未払い残高。

・利子割引料 = 下取り車の残債を一括清算する時に、残りの元金分に加算される金利手数料。

※ 残債の一括清算時の詳細については「月々ローン、金利手数料分は?」を参照。

・長期前払費用 = 保証料52,270円の内、来期以後1年以上後に役務に係る費用(3年分)。

・前払費用= 保証料52,270円の内、来期1年以内に役務に係る費用分(来期1月〜12月分)。

※ 銀行借入の保証料については「銀行借入ローン」を参照。

・事業主貸 = 売却(下取り)価格 − 下取り車の帳簿価額 = 100,000円の売却損。(減価償却資産の売却損も「譲渡所得」になるので「事業主貸」)

※ 減価償却資産の売却益、売却損については「減価償却資産の売却・徐却」を参照。

 貸方内約

・現金 = 頭金
・借入金 = 銀行ローン

※ 月々の支払の仕訳については「自動車ローン・クレジット」を参照。

・車両運搬具 = 下取り車の帳簿価額。
・預託金 = 下取り車のリサイクル預託金相当額。

 補足

銀行借入は、保証料が金利手数料に含まれていない場合を仮定。

もし金利手数料に保証料が含まれている場合には、月々の支払時に利子割引料として金利手数料分と一緒に経費計上します。(保証料は支払回数の均等割りでOK)

契約時(納車前)に支払う頭金などは、例えその現金が支払額の全額だとしても〜 その時点では未だ自動車を受け取れませんので、それら金銭は「前払金」として仕訳をしましょう。

※ また車両代以外のその他諸費用などに関しましても、その頭金の支払い時などでは、その頭金がそれぞれ何の費用に充てられるのか明細は分かりませんし、しかもそもそも・・・ それらほとんどの諸費用は実際には 「自動車を保有しないと発生しない費用」とも考えられますので、

 その納車前の現金の支払いが全額だとしても、その時点では各費用に振り分けるような仕訳はせず、「前払金」としてひとまとめにしておくのが無難かと。。(私見)

 ちなみに〜 この場合の頭金などは、例えその頭金がそれぞれどの費用に充てられるか分からなくとも、「仮払金」勘定での仕訳ではないかな。。 一応支払いの目的(支払いの対象物やそれら価格等)は決まってますので・・・(ただ、実務上はどちらでも問題はないかと思われます)

その他補足など


尚、当ページ各仕訳例においては、自動車保険の同時加入については触れてませんが、

ただ自動車保険に関しましても・・・ 他の勘定科目と同じく、納車日を起点にして経費算入等される感じで問題ないかと思われます。

※ 自動車保険についてもう少し詳しくは ⇒ 自動車の維持費など

実際の自動車購入に関する一連の実務などにつきましては、頭金の他・・・

契約時の手付金とか内金、申込金などといった、契約などにまつわる一時金的な金銭の流れもあろうかと思われますが、

ただこれら金銭のいずれにおきましても、その対価が納車まで(納車日まで)に支払われるものであれば、それらも全て「前払金」として取り扱いましょう。

※ 実際これら手付金などは、各項目でその法律上の意味が全く異なりますが、しかし実務上ではこれらの違いはそこまで細かく考えなくてもよろしいかと。。


ちなみに、自動車の購入契約・・・ というもの自体そもそも「契約」ではなく、「注文」というそのクルマの購入事項に関する覚書的・意思表示的な取引きにしか過ぎませんので、(ここ参考になるかと ⇒ blog-entry-457.html(外部サイト)

その契約時に、その契約内容の何かしら(例えば車両本体はもちろんの事、自動車保険とかオプション品代とかも)に対して「未払い」的な勘定を立てるような仕訳は考えないで下さいね〜 ^^

※ 契約日は、そのモノを取得した日でも〜 また役務の提供が開始された日でもありませんので、その時は、実務上何も仕訳に相当する発生するものがありませんから。
※ 尚、かなり稀なケースかと思われますが、納車された後の後日払い・・・ とかいう場合には、納車日においては各項目毎にそれぞれ適用に相当しよう仕訳を行って下さいね ^^ (車両代金等は未払金を立てても問題ないかと思われますが、自動車保険など・・・ その車両とはまた別の契約によって実行される費用などについては、納車日に未払いを立てると違和感あるモノもありますので・・・)


それと・・・ こういった自動車の購入に関しての、その取引きや購入事項内容を記した「証票」は、ここで言う「自動車注文書」だけでは役不足である可能性が高く、

※ 私自身がクルマ業界に携わっておりましたので、個人事業のお客様から・・・ よく頻繁に、お客様が確定申告してもらうにあたっての「注文書」でなく、「見積り書(社印などが押印されているもの)」の追加の要求をされる事がありましたもので。(担当の税理士さんとかから言われるらしいです)

 まあ こういった理由からなんですが。。

もしその自動車購入の契約が決定した折には、

同時に、全く同じ内容を記した「見積り書」ももらっておく事を〜 オススメしておきます!

とまあ色々と長くなりましたが、以上参考までに。

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