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(2015年9月23日更新)

電子マネーの仕訳例 (Edy、Suica、WAON、nanaco等)

 コンビニでチャリーン(シャリーン?) 自動販売機でも。 現金を持ち歩かなくとも またクレジットカードなども持ち歩かなくとも決済できる優れものアイテム ”電子マネー”。 ところでこういったもの最近急速に普及して来ましたが、ちなみにもしこういったモノを利用する場合、税務は一体どう考えておけばいいのでしょうか。

チャージ方式 /EdyとかSuicaとか

 前払いプリペイド方式とも。

 一番簡単な手法を用いれば、他の現金等価価値物品切手(商品券)と同等に扱い、チャージ時には無仕訳で、使用時に現金勘定で振り替える手法があるでしょう。

【仕訳例】
楽天Edyにチャージした。

仕訳なし
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【仕訳例】
楽天Edy決済で筆記用具を購入。

借方 貸方
消耗品費 4,000円 現金 4,000円

 こういったチャージ方式の電子マネーはチャージ可能な上限がそれほど大きくないため、また支払い元のお財布が電子マネーという形に変わったのみで、(いわゆる資金が移動したのみ) そこに何かしらの債務が発生するわけでも消費が発生するわけでもないので--- いわゆる ”重要性に乏しい” と考え、こういった仕訳でも問題とならないでしょう。 税務署が欲する必須条件は ”最終税額が合っているか否か”。 税額が合っていさえすれば上級簿記のような取扱いは不要とも。

 ちなみに、チャージした時にあえて仕訳をしちゃうなら、商品券勘定(他流動資産)、その他電子マネーという勘定科目(他流動資産)を新規作成するなどして管理すればいいでしょう。 (もちろん消費税は非課税。 なお、プリペイドカードのように 取得時課税仕入れとしたい場合には、こういった勘定科目を使う事になるでしょう(物品切手の自己消費特例))

 仮払金勘定という見方もありますが、ただ仮払金勘定は出先不明な一時金を管理するものであって常用すべきものではありませんから、余計な誤解を招かないためにもあまり使用はオススメ致しません。 (→ 仮払金が常用されていると経理がずさんと見られやすく、税務署側もついつい内容を知りたくなるでしょう。 ちなみにもちろん資産として計上されますので、税務上は全く問題はないんですが。。) (※ 関連: 仮払金とは

 またその他貯蔵品という見方もありますが、ただ貯蔵品自体はその物体 ”商品” が消費されずに使われずにストックされているものを管理する勘定科目ですから、(切手や消耗品など、その物体自体を消費できるもの。 在庫品) 一応これも資産扱いなので問題はないにしても、その電子マネーを貯蔵品とするのは少々無理があるかと。。 (→ ちなみに、商品券を貯蔵品として取り扱う場合がありますが、これは贈答用としてそのものを消費?する場合そう取り扱っているだけで、もちろん自家消費する分に関しては貯蔵品として取り扱わない事にご留意ください(これと似たパターン)。 但し、バスカードなど、特定のサービス(交通費オンリー等)に限定されているものに限っては、商品(サービス)のストックと考え貯蔵品扱いが適正性高くなるでしょう) (※ 関連: 貯蔵品とは

 それから前渡金(前払金)。 これは主に商品や製品材料の仕入れ時に使われるものなので ほぼ論外。 また例え仕入にまつわるものだとしても、電子マネーは現金に限りなく近い存在、かつ一部のものをのぞいては未だ購入対象品が決まったわけでもありませんし。。 (※ 関連: 前払金とは

 最後に前払費用という考え。 これは完全論外。 前払費用は一定の契約のもと継続されるサービスに支払う対価で、かつ未だサービスを受けていない部分に対して用いられるもの。 完全なお門違いゆえ間違っても使わないように。 (※ 関連: 前払費用とは
 まれに、チャージした時に既に費用化(必要経費に計上、損金算入)してしまっている方や、また少額かつ継続適用などを約束に、チャージ時に全額必要経費とするやり方を推奨されている方もいらっしゃるようですが、チャージはあくまで資産の移動。 貯蔵品のように何か特定のものを購入しストックしているわけではありませんので、そういった即経費化は決して行わないように。。 (但し、バスカードなどのように、支出時に既に受けられるサービスなどが固定されている場合は(交通費のみ等)除いても問題ないでしょう)

 但し、そのチャージにクレジットカードを使った場合のみは勝手が異なってくるでしょう。 カード決済による債務がそこに発生してしまいますから。。

【仕訳例】
事業用クレジットカードを使ってSuicaチャージ。

借方 貸方
商品券(電子マネー) 20,000円 未払金 20,000円

 ※ 現金勘定が出来ませんので、(不自然) こういった場合は商品券勘定を。
 ※ もちろん消費税は非課税。

【仕訳例】
カードでチャージしたSuicaを使って備品を購入。

借方 貸方
消耗品費 4,000円 商品券(電子マネー) 4,000円

 またそのチャージに ”個人のお財布” を使った場合、その場合も事業資金が実質増える事になりますので、そういったケースでも勝手は異なってくるでしょう。

【仕訳例】
事業主個人のクレジットカード、もしくはお小遣いを使ってSuicaチャージ。

借方 貸方
商品券(電子マネー) 20,000円 事業主借 20,000円

 ※ 但し、その電子マネーを個人用途ベースとする場合には、使った時のみ事業主借勘定を引っ張り出してきて仕訳されて下さい。

 なお、もしこういった商品券勘定等が出て来る場合には、現金チャージ分も商品券勘定などで統一されて下さい。 現金勘定で簡略化が可能なのは重要性の乏しい時のみですし、そもそも取引き毎にそれぞれ異なる勘定科目を用いるのは 今度は逆に一貫性の法則に抵触してきてしまいますので。。

デポジット

 電子マネーには一部、デポジットとして保証金を預けるタイプのものも御座います。 (カード返却時にそのデポジットは返ってきます)

 なお、そういったものに関しましては、後にも先にも必要経費と化する事はなく、(何かサービスや商品の対価ともならない) ただ自分の資産を預けているだけですので、、 差入保証金、又は預け金等といった勘定科目を用いて管理されて下さい。

【仕訳例】
Suicaカードをクレカで購入した。

借方 貸方
商品券(電子マネー) 9,500円 未払金 10,000円
差入保証金 500円

 ※ もちろん、カードを解約するなどでデポジットが返金された場合には、差入保証金を逆仕訳して処理します。

実際のチャージ額より多く使える場合

 今現在において私の思いつく環境範囲内では具体例までは出て来ませんが、場合によっては、チャージした額よりも多く使えるものもあるかもしれません。 (例えば、10,000円のチャージで11,000円分使える、、 みたいな。 昔あった高速道路のハイウェイカードみたいな感じ) と、もしそういったケースでは〜

 超過して使える分は、雑収入として利益扱いされるのが一般的と言えるでしょう。

 ちなみに、チャージ時には実際に支払った額面しか記帳されない事となりますので、その雑収入のタイミングは、オーバーして使えた時に立てるのが一番よろしいかと。 (もちろん支出時に全額必要経費とするパターンでは、その支出時に。。)

後払い方式 /iD等

 いわゆるポストペイ方式。 JCBだとクイックペイ、VISAならVISAタッチなどですね。

 この場合は電子マネーというよりクレジットカード決済と全く同じ特性であるため、また事前チャージ等というアクションはなく ”電子上の金銭” も存在しませんので、使った時にクレジットカード決済と同じ流れで仕訳するのが原則と言えるでしょう。

【仕訳例】
iDを使ってコンビニで備品を購入した。

借方 貸方
消耗品費 5,000円 未払金 5,000円

仮想マネー /オンライン上だけで取り扱われる金銭

 これまでの電子マネーは、実店舗でも現金と同様に使う事の出来る金銭でしたが、(使えるお店とそうでないお店はありますが) しかしここで言う仮想マネーは あくまで ”オンライン上” だけで存在するもの。 つまり極端に言えばドラ○エの貨幣単位(仮想通貨) ”ゴールド” みたいな感じで、主にオンライン上で行われるサービスや物品購入の対価として用いられるものとお考え下さい。 (貨幣価値単位もオリジナルのものが多い)

 代表的なものだと ”Bit Cash” とか ”Web Money” とかかな。

 ちなみに、この電子マネーを得る前には 事前(使用前等)にプリペイドしておく必要があり、(Edyのチャージ等と同じような感じ。 ただチャージするのは仮想マネー。 ゲーセンでゲームコインに交換するみたいな感じ) またその単位もオリジナル単位であるため、実務上取り扱う事となった場合にはけっこう悩みの種となってしまう事も。

 なお、2015年現在、こういった仮想マネーは未だ法整備が整っておらず、国税庁側も ”検討” という曖昧な見解しか示しておりません。 また唯一の手がかりとされている政府見解もあくまでそう ”意見” を述べているだけであって、、 (またこれはビットコインに関連して意見したものでしかありませんし) まあいずれにしても正論は存在しておらず、もちろん私の仕訳見解もそれら前提で、かつ現況におけるものとしてご参考頂けますよう何卒願います。

 というわけでこれらを踏まえあえて仕訳してみるなら〜

【仕訳例】
仮想マネーをチャージ。

借方 貸方
電子マネー 20,000円 普通預金 20,000円

 ※ 現金とも商品券とも特性が異なるため、電子マネー等といった新しい勘定科目を作成し、それで管理するのがよろしいかと。 区分は ”他流動資産” 辺りでいいでしょう。

 ※ ちなみに消費税に関しましては、政府見解だと ”仮想マネー購入” という事で課税扱いとなりそうだが、ただ、これらもビットコインと同等と扱ってしまうとはっきり言ってかなりオカシイことになる。 (確かに電子マネーを購入したが、しかし購入したのはあくまで二次商品購入以外の用はなさない通貨であって、最終目的である肝心のサービスや商品は受けておらず、、 また同じ通貨でも、購入物はまたそれぞれ異なってくるでしょうし。。) なので私は、ここでは非課税扱いとして見解させて頂いております。

【仕訳例】
仮想マネーでレンタルサーバー代を決済。

借方 貸方
通信費 10,000円 電子マネー 10,000円

 ※ もちろん消費税はこのタイミングで課税。
 ※ ちなみに、仮想マネー単位は ”円換算” で。 仮想マネー単位のままだと帳簿の数字がズレてきますので。。

 と、こんな感じでしょうか。

 ちなみに、当サイト公開のために私が借りている大手レンタルサーバーも、どう考えても電子マネー購入時でなく サーバー代決済のタイミングで消費税が課税されており、まあそういった考察部位からもこういった見解にしております。 (その会社は上場企業なので、おそらく専属の会計士とか税理士とかもいるはずですので、まあまず大きく焦点がズレている事もないでしょう)

 なお、ビットコイン、並びにそれらに類するもののみに関しましては、仮想マネー購入時に課税されておくのが無難と言えるでしょう。 政府見解では直接名指しでそう意見しておりますし、またそれらマネーは ここで言う仮想マネーとはまた大きく異なる特性を持っているようですし。。

 以上、参考などなる点御座いましたら幸いです。

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