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譲渡所得の計算

譲渡所得に該当する事業用資産は前回のとおり。

それでは、お次は譲渡所得の計算に関して触れておきましょうか。

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計算方法等

譲渡所得は個人の所得になりますので、個人の場合と同様に計算します。

但し、減価償却資産は帳簿価額を基準に損益計算しますので、購入当時の取得価額より安く売れたから・・・と言っても、譲渡所得の対象外になるとは限りません!!!

勘違いしないよう要注意ですよ〜 \(^o^)/

それでは例題に沿って説明(計算)してみましょう。

例題 /////

取得価額が100万円の資産を購入し、3年に渡って60万円の減価償却を行いました。(現在の帳簿価額は40万円) そして今回別の資産を取得する事となり、この資産を売却する事にしました。 売却価格は80万円でした。

この場合、事業主個人の譲渡所得はいくらになるでしょうか?

回答 /////

購入当時の取得価額より安く売却されていますので、一見、譲渡所得に該当する価額はナシ・・・と思ってしまいそうですが、

帳簿価額を基準に損益を計算する事を忘れないで下さいね〜 ^^)/

上記例の場合には、帳簿価額が40万円でしたので、売却価格の80万円から帳簿価額を差し引き残った「40万円」は売却益となり、譲渡所得の対象となります。(ここではまだ確定ではありません

ちなみに譲渡所得には特別控除が50万円ありますが、年間を通して他に同種の譲渡所得に該当する損益がある場合にはそれらの金額と通算して計算してください。

もし他に損失の譲渡所得がある場合には、上記の売却益40万円と相殺。 しかし他に収益となる譲渡所得がある場合には、上記の売却益40万円と合算を。

※ なお個人所有物の譲渡所得は収益のみ合算し、損失は合算不可。
※ 譲渡所得の合算・相殺については、また次ページで詳しく説明 ^v^)ノ

そして他の譲渡所得との相殺・合算後、決算時において、特別控除の50万円を差し引いた残りが当期(当年度)の譲渡所得の額となります。

※ 年間を通して他に譲渡所得の対象がなければ・・・ 40万円(売却益) − 50万円(特別控除) = −10万円、特別控除50万円を差し引くとマイナスとなってしまう場合には「0円」が上限となりますので、、

 譲渡所得 = 「0円」 となります。(特別控除50万円を差し引くとマイナスとなってしまう場合には「0円」が上限(下限)です)

補足 /////

もし売却価格が帳簿価額よりも安かった場合には ⇒ 損失の譲渡所得(譲渡損失)となり、収益の譲渡所得(譲渡収益)と同様に、年間を通して他の譲渡所得と相殺・合算(通算処理)して決算を迎える事となります。

※ なお譲渡所得の合計がマイナスの場合には、特別控除の50万円は適用出来ません。

とまあこんな感じでいかがでしょう。

よくよく考えてみると、譲渡所得には50万円の特別控除がありますので、減価償却資産の売却益は法人よりもお得・・・という事ですね〜 ^^ (法人の場合には、売却益は全て事業所得になるので)


少額減価償却資産の特例を受けている30万円未満の資産については、減価償却資産として計上されていても帳簿価額は「0」になっていますので、売却額の全額が譲渡所得の対象となります。

譲渡所得の課税区分について

譲渡所得は、大きく分けて「分離課税」「総合課税」という2つの区分に分けられます。

 分離課税

事業所得や給与所得等とは完全に分離して課税される譲渡所得。

主に土地や建物の譲渡所得が分離課税に該当します。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/jouto303.htm (国税庁HP)

 総合課税

事業所得など、他の所得と合算して課税される譲渡所得。

基本的には土地や建物以外の譲渡所得が総合課税に該当します。(上記例の減価償却資産はもちろん「総合課税」

※ 総合課税の確定申告は、確定申告書Bの「総合譲渡」欄へ記入して申告します。
※ 分離課税に該当する譲渡所得は、他の所得や総合課税に該当する譲渡所得とは一切通算する事が出来ません。

短期・長期

確定申告書Bの「総合譲渡」欄を見て頂ければ気がつくと思いますが・・・

短期」と「長期」の2種類に分別されていますよね〜。

これなんなん?

 短期

該当する資産の保有年数が5年以内のもの。 短期譲渡所得とも言います。

 長期

該当する資産の保有年数が5年を超えるもの。 長期譲渡所得とも言います。

なーんだ。 5年の境を基準に小分けしているだけだな〜? ・・・と、思われた方!

実は理由があって小分けしているんです〜 ^o^)/

長期に該当する譲渡所得は、その所得の半分だけが課税の対象となる。

という事なんですね〜 ^^ (私の個人的に、これを「半額サービス」と呼んでいます)

つまり、決算において長期に該当する譲渡所得が100万円あった場合には、

(100万円 − 特別控除50万円) × 0.5 = 25万円

が、譲渡所得の課税対象となるわけなんですね〜 ^^)/

あ!もちろん、短期に該当する譲渡所得もある場合には、短期の譲渡所得も合算して課税対象額を算出します。(半額サービスは長期の部分のみ対象)

※ 特別控除は短期を優先して控除し、残った特別控除の額を長期から差し引く計算。

 決算において、長期100万円、短期80万円の譲渡所得があった場合には・・・

A ・・・ 短期80万円 - 特別控除50万円 = 30万円(0円が下限)

B ・・・ (長期100万円 − (Aの特別控除の残り)0万円) × 0.5 = 50万円

30万円 + 50万円 = 譲渡所得の総額

 決算において、長期100万円、短期30万円の譲渡所得があった場合には・・・

A ・・・ 短期30万円 - 特別控除50万円のうちの30万円 = 0万円(0円が下限)

B ・・・ (長期100万円 − (Aの特別控除の残り)20万円) × 0.5 = 40万円

0万円 + 40万円 = 譲渡所得の総額

※ 長期譲渡所得がマイナスの場合には「×0.5」の半額サービスはありません。(確定申告書作成コーナー試算データより参照)


短期と長期が混合した場合には少々複雑そうですが・・・ 国税庁の「確定申告書の作成コーナー」から申告書を作成すれば全ての計算は自動なので、それほど深く考える必要はありませんよ〜 ^-^)/


確定申告書Bに長期の譲渡所得を入力する際には、第一表・収入金額等(上段)の「総合譲渡」欄に記入する数値は「半額サービスする前の金額」で、

半額サービスされた長期の譲渡所得の額は、第一表・所得金額(下段)の「総合譲渡・一時」の欄へ記入・反映させます。

※ もちろん、国税庁の「確定申告書の作成コーナー」から申告書を作成すれば、全ての計算は全自動〜 ^^


確定申告書で譲渡所得がマイナスとなる場合には、必ず税務署へ相談して下さい!(国税庁の推奨による)

事業用として使っていた資産であっても、その利用状況や環境によって損失額を損益通算出来ない場合も考えられますので、確定申告書で推奨されているように、譲渡所得のマイナスは必ず税務署で相談して下さいね〜 ^-^)/


「分離課税」に該当する土地や建物の譲渡所得は、「総合課税」に該当する土地や建物以外の譲渡所得とは一切合算・通算出来ませんし、「分離課税」と「総合課税」はそれぞれ確定申告方法も異なります。

当サイトの譲渡所得に関する情報は、個人事業における事業用資産に関する総合課税の譲渡所得を基準としていますので、特に注意書きの無い場合には、事業用資産の譲渡所得(総合譲渡)として考えて下さい ^^

また、「個人所有物の譲渡所得」に関しては、これも特に注意書きの無い場合、生活用動産を除く課税対象となる個人所有物の譲渡所得・・・としてお考え下さい ^^

とまあこんな感じで、以上参考までに。

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