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(2015年5月12日更新)
会計事務・仕訳上にて、似たような性質を持つもので、よく比較され違いを問われる事も多いもの。 今回はそんな一角の代表格とも言える ”前払費用(長期前払費用含む)” と ”繰延資産” の違いなどについて、少々触れておこうかな〜 と。
ちなみに 開業費と開発費に関しては完全固定で繰延資産決定なので、一応これら予め。
広義には ”一定の契約に従い、継続して役務の提供(サービス等)を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価”。 狭義には ”一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するもの”。
つまりその役務に対する費用は支払ったが、今後契約にしたがって月日を追うごとに順に役務が提供されるため、その未だ役務が提供されていない部分に該当する費用は必要経費として算入する事は出来ず(= その該当する費用の事をここで言う ”前払費用” と)、役務の提供に順じて段階的に必要経費にしてください--- というもの。
例えば保険や保証金(保証料)などがそうですね。
3年契約で契約した場合、契約時に支払いを済ませ この先3年間に渡って補償が受けられる等。
繰延資産と一言で言っても 大きく分けると2区分あり、その区分によってやや取扱いは異なれど、、 広義には ”支出した費用の効果が今後1年以上に及ぶもの”。
つまりその役務などに対し費用は支払ったが、その効果は1年以上に及ぶので、その長期に渡る効果に対する対価はその効果のあると考えられる範囲で適正に費用化(必要経費へ算入)して下さい--- というもの。
例えば契約金や家賃保証・礼金などがそうかな。
但し、その契約期間終了後等において返金される事が決まっているものについては当てはまりませんので、それら辺りには予めご留意願います(返金されることが分かっている = 必要経費へは一切算入出来ない。 あくまで預けている自己資産として取り扱う(敷金や差入保証金、権利金等))。
これら2つを比較し違いを述べてみると、、
@前払費用では---
段階的な費用化が比較的明確なものが多い。 支払った時点では全ての役務は完結していない。 期間に応じてその料金が適正化(算出)されている〜 とか、
A繰延資産には---
利益効果が含まれる事も。 支払った時点で既に役務は完結している(なので効果うんぬん)。 期間にかかわらない料金体制(家賃のみをもとに算出等)〜 とか、
そういった細かい部分もちょこちょこと御座いますが、 (主要と思われる一部)
これら区別において最も大きな特徴は、、
前払費用は、契約の中途で解約すれば 残っていた役務の対価に相当する費用は返金される。 しかし一方繰延資産では、契約などの中途で解約をしても 残っていた役務うんぬんそもそも一切の費用の返金もない。
といった点かな。
なのでこれら2つを使い分け、又は仕訳に迷った場合には、こういった返金されるか否かが大きなポイントとなるでしょう。 (※ どちらもその効果や契約が終了した折には、当初支払った一切の費用が返金される事はありませんが、ただ唯一前払費用では、その契約等の中断を申し出した場合、何等かの契約条件にもとづき返戻金などがなされるようになっている--- と(全ての役務が完結していないから。契約期間に応じての価格だったから))
但し、いずれにおいても支出時には会計処理が必要である事から、また返金されないはずがイレギュラーにも返金してくれるものも多く考えられる事もあり、実務的には風潮や実態に沿った区分けよりも ”契約内容” を基準と考えておいた方がいいでしょう。 (※ 返戻金についての約款がある保険契約 ⇒ 前払費用。 中途で契約を打ち切った、早期に切り上げた等場合でも、支払った保証金は一切返還されない旨が記載されている ⇒ 繰延資産)
また、これらはあくまで見分けるための大きな一要素でしかありませんので、実務上で区分される場合には、他の要素も重ね合わせ最終判断を願います。
以上参考などまでに。